制限措置延長に抗議するアムネスティの声明
アムネスティ発表国際ニュース(2005年4月19日)
AI Index: MDE 15/024/2005
ニュースサービス No: 097
イスラエル:アムネスティ・インターナショナルはモルデハイ・バヌヌに科せられた制限措置の更新を非難し、制限措置が解除されることを要請する
反核の内部告発者、モルデハイ・バヌヌに対してイスラエル当局によって科せられた制限措置を更新するという、今日、発表されたイスラエル当局の決定を、アムネスティ・インターナショナルは強く非難する。モルデハイ・バヌヌ本人が望むのであれば国を離れること、またイスラエルにおいて移動、結社、表現の自由の権利を行使することを認めるよう、イスラエルに対してアムネスティは要請を繰り返している。
モルデハイ・バヌヌの自由に対する制限措置は、彼がイスラエルの核兵器工場についての秘密をさらに漏らすことを防ぐことを意図していると、イスラエルは主張している。モルデハイ・バヌヌは、彼が入手できた全ての情報は1986年に明らかにしたと繰り返し述べている。
モルデハイ・バヌヌが基本的権利を侵害されて恣意的な制限措置に従わされていることに、アムネスティ・インターナショナルは懸念している。彼が全刑期を服し終えたにもかかわらず、彼のこれからの行動が国家の安全にどんな危害を与えるかという憶測を前提として利用し、モルデハイ・バヌヌを罰しつづけることに当局は没頭しているようである。
「バヌヌが国内外へ旅行する権利、人々と平和的に交際する権利、意見を表現する権利を含んだ国際法は、モルデハイ・バヌヌに恣意的な制限措置を科さないようイスラエルを拘束するものである」とアムネスティ・インターナショナルは今日、述べた。
イスラエルが批准し支持しなければならない市民的、政治的権利に関する国際規約(ICCPR)の第12条は次のように規定している。
「合法的にいずれかの国の領域内にいるすべての者は、当該領域内において、移動の自由および居住地を選択する自由について権利を有する」「すべての者は、自国を含むいずれの国からも自由に離れることができる」
2005年4月12日に、モルデハイ・バヌヌは刑務所から釈放された後に科せられた制限措置に違反したとして裁判にかけられた。外国のジャーナリストに対して話したことやベツレヘムでのクリスマス・ミサに参加するためエルサレムを離れようと企てたことによる制限措置違反で、21の訴因により彼は起訴された。もし有罪とされるならば、モルデハイ・バヌヌは3年間の入獄に直面するかもしれない。次の聴聞会は5月19日に予定されている。
もしモルデハイ・バヌヌが彼に科せられた制限措置違反で投獄されることになれば、アムネスティ・インターナショナルは彼を良心の囚人とみなすことになろう。
背景情報
モルデハイ・バヌヌは1976年から1985年までイスラエルのディモナの核施設で技術者として働いていた。彼は1986年、英国に拠点のあるサンデー・タイムズとのインタビューでイスラエルの核能力の詳細を暴露した。モルデハイ・バヌヌはイスラエル諜報機関、モサドによってローマで誘拐され、密かにイスラエルに連れ戻された。秘密裁判の後、彼は反逆とスパイ活動の罪で18年の禁固刑の判決を受けた。イスラエルの核兵器製造と保有の危険について一般の人々に警告するため、自らの良心から行動したのだと、モルデハイ・バヌヌは主張してきた。
彼は18年の全刑期を服して、2004年4月21日にモルデハイ・バヌヌは釈放された。その最初の11年半は独房生活であった。彼の釈放後、イスラエル当局は彼の基本的権利に対して厳重な制限を加えた。その制限は、国を離れることの禁止、イスラエル国内での移動制限、ジャーナリストを含む外国人との接触の禁止などである。制限措置は1年後に期限切れとなる予定であったが、今やもう1年更新されることとなった。
原文は下記のURL
http://web.amnesty.org/library/Index/ENGMDE150242005