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モルデハイ・バヌヌ氏釈放のための米国キャンペーンのパンフ和訳

バヌヌ氏について

「モルデハイ・バヌヌ釈放のための米国キャンペーン」パンフ和訳

モルデカイ・バヌヌ
・ 核兵器密告者
・ 良心の囚人

「私はスパイ」  モルデカイ・バヌヌ

私は事務員であり、技術者であり、機械工であり、運転士だ。
これをやれ、あれをやれ、左も右も見るな、書類を読むなと言われる。
機械全部を見るな。
お前はこのひとつのボルトだけつければいいんだ。このゴム印分の責任しかないのだ。
お前はこれだけを心配しろ。お前の頭上にあるものについて思い煩うな。
我々のことを考えようとするな。そのまま運転を続けろ。走りつづけろ。走れ。
やつら、大物や、賢者や未来学者たちはそう思っている。
恐れることは何もない。心配するな。
全ては順調にはかどっている。
我々のつまらない事務員は勤勉な働き者だ。彼は単なる機械工だ。
彼は小物だ。
つまらないやつの耳には聞こえないし、目はきかない。
我々には頭脳があるが、やつらにはない。
やつらに仕返ししてやれと、つまらないやつは独り言を言っていたが、そいつには自分で考える頭脳があるのだと言った。誰の責任だ?この列車はどこに向かっているのか誰が知っているんだ?
やつらの頭脳はどこにあるんだ?私にだって頭脳はある。
なぜ私にはエンジン全体が見えるのか。
なぜ私にはがけっぷちが見えるのか――この列車には運転士が乗っているのだろうか。
その事務員兼運転士兼技術者兼機械工は見上げた。
彼は後ずさりし、見たものは――なんという怪物:信じられないほどだ。目をこすってみたが、やはり怪物はそこにいた。私は正気だ。私は怪物を見ている。しかも私はこの一味なのだ。
私はこの書類に署名をした。今になってやっとその書類を読んでいるのだ。
このボルトは爆弾の一部なのだ。このボルトは私だ。
なぜ私にはわからなかったのか、それに他の人々はどうやってボルトをつけ続けているのだろうか。
ほかに誰が知っているのだろうか。
誰が見ただろうか。誰が聞いただろうか。――皇帝は本当は裸なのだ。
私は皇帝を見てしまった。なぜ私が?私には向いていない。あまりにも大きすぎる。
立ち上がって叫ぶのだ。立ち上がって皆に話すのだ。
君なら出来る。
ボルトみたいにつまらないやつで、技術者で機械工の私が?――そうだ、おまえだ。
お前は皆の秘密諜報員なのだ。国の目なのだ。
諜報員よ、お前の見てきた事を話してくれ。
内情に明るい者や賢い者が我々から隠している事を話してくれ。
お前がいなければ、絶壁があるのみだ。
災難があるのみだ。
選択の余地はない。私は一小市民で、その他大勢のうちの一人だが、
しかしすべきことをやろう。私の内なる声を聞いたし、隠れる所はどこにもない。
世界は国家権力にとっては、小さい、小さいものだ。
私はあなたの命令に従おう。私の義務を行おう。私は本気だ。
自分で来て見てごらん。私の重荷を軽くしてくれ。
列車を止めよ。
列車から降りるのだ。次の停車地では――核の惨事が起こるからだ。
そうなれば次の本、次の機械は、いや、そんなものはなくなってしまうのだ。

ー イスラエルのアシュケロン刑務所で執筆

モルデカイ・バヌヌを釈放するお手伝いをします
□ もっと資料を送ってください
□ 私の地域で講演をしてくれる人の手配のお手伝いをしますので、私に連絡してください。
□ この運動の資金援助として$ 献金します
モルデカイ・バヌヌを釈放するアメリカキャンペーン向けに小切手または郵便為替を作り、下記の住所宛てにお送りください。(我々の資金スポンサーであるプログレッシブ財団宛てに50ドル以上献金されますと、税控除が受けられます。)
□ 私に下記のものをお送りください。
27分間もののBBCのビデオテープ(20ドル)
この事件に関するペーパーバック(18ドル)
バヌヌTシャツ(S,M,L,XL,XXLを明記のこと、17ドル)
氏名
住所

国名および地域
郵便番号
モルデカイ・バヌヌを釈放する米国キャンペーン
2206 Fox Avenue
Madison, WI 53711
電話およびファックス 608 257 4764
eメールアドレス:samday@chorus.net (サム・デイ氏は2001年1月に逝去されました。現在の連絡先は米国キャンペーンのサイトを参照してください。-野間)
ウエッブサイト:www.nonviolence.org/vanunu

バヌヌ物語

元イスラエルの核技術者であるモルデカイ・バヌヌは、政府の極秘の核兵器製造計画を告発したためイスラエルの刑務所で18年の刑に服している。1986年9月30日にイスラエルのエージェントによって捕らえられ、独房で11年半以上も過ごしてきた。
1963年にモロッコ系ユダヤ人の両親はイスラエルに移住してきたが、彼は11人いる子供のうちの一人で、この時彼は9歳だった。バヌヌはイスラエル軍で兵役し、それからベールシェバの自宅近くのネゲブ砂漠のディモーナ核「研究センター」で若いころ働いていた。この施設には極秘で運営されている地下のプルトニウム分離工場があった。年月が経つにつれ、バヌヌは核爆弾プログラム下で働いていることにますます悩むようになった。1985年ディモーナを去る前に、バヌヌは自分の国民や全世界に真実を証明するため工場内部の膨大な写真を撮った。
その写真をバックパックに詰めアジア中を旅しながら、バヌヌはオーストラリアのシドニーまで足を伸ばしたが、そこでイギリス国教会社会正義共同体で仲間を見つけ、彼らに自分の核に関する過去の話をした。シドニーで彼はキリスト教に改宗し、1986年7月に洗礼を受けた。イギリスのロンドンサンデータイムス紙が彼の話を知り、取材のためシドニーにレポーターを派遣した。この新聞社はそれからバヌヌを飛行機でイギリスまで連れてきて、彼の写真や話を核兵器に詳しいイギリスの科学者たちにさらに検証させた。バヌヌの話は1986年10月5日に出版されたが、小国イスラエルが高性能設計の200もの核弾頭用の物質を持つ、核兵器大国になってしまったことを世界に初めて正式に確認してみせた。
イスラエルのエージェントたちは早いうちからバヌヌの意図をかぎつけていた。彼の話が出版される以前でさえ、イギリスから彼をおびきよせ、イタリアで誘拐し、薬で麻痺状態になった彼をイスラエル行きのイスラエル貨物船に投げ込んだ。その後数ヶ月バヌヌは非公開の裁判でスパイと反逆罪で告訴され、有罪となった。あらゆる法的控訴手段は断たれてしまった。
11年半に及ぶ投獄の最初の期間、バヌヌは独房に入れられ、看守や弁護士、司祭や時たま訪れる親戚を除いて人的接触を断たれてしまった。この扱いはアムネスティ・インターナショナルによって「残酷で、非人間的で自尊心を傷つけるもの」として非難された。1998年3月12日に独房ではない刑務所に入れられたが、その他の権利は拒否されたままだった。仮釈放や保護観察も拒否されている。長引く孤独感によって肉体的また精神的に影響があるのではないかとの懸念が高まっている。

彼の釈放を求めるキャンペーン

核兵器製造労働者として秘密厳守の宣誓をバヌヌは犯してしまったことを認めているものの、世界中の何千人もの人々は彼のことをスパイや反逆者ではなく、他の人々のために報酬もなく自分の持っている情報を知らしめた者とみなしている。世界中の国々で彼は、自分の身の重大な危険も顧みず、真実を告げる勇気を持つ高潔な者としてあがめられている。
バヌヌは幾度となくノーベル平和賞にノミネートされた。アメリカの物理学会の作業部会であるアメリカ科学者連合や国際平和事務局、エピスコパルフェローシップやユダヤフェローシップや宗教、科学そして文化的指導者たちや他の者たちが人権侵害や核兵器の拡散を心配したため、欧州議会はイスラエルに人道的理由で釈放するよう求めた。彼の釈放を求めるキャンペーンはアメリカやイスラエルはもとより、十数カ国で行われている。
アメリカのキャンペーンは、退役軍人の平和活動家によるサム・デーによってウィスコンシンのマジソンで調整されている。準コーディネーターは、ワシントンDCのアーサー・ラフィンとアリゾナのトゥーソンにいる核反対者の共同編者であるフェリスとジャック・コーヘン-ジョッパである。このキャンペーンでは季刊のニュースレターを発行し、本やビデオテープ、Tシャツやこの件に関する教材を販売し、講演者を派遣し、ワシントンのイスラエル大使館や米国中の領事館でのデモを組織し、ワシントンや国連でロビー活動をし、他国でのキャンペーンの援助をし、刑務所にいるバヌヌに生きていくための最低限の支援を提供している。
バヌヌの釈放とイスラエルの核貯蔵の証人を求める際に、アメリカのキャンペーンはアメリカの核兵器政策にも批判的な意見を浴びせた。問題の一つは、核兵器拡散に反対しているという政府の公式の立場を損なうような二重基準を採用している事だ。一連のアメリカの大統領は、イラクや北朝鮮などのような第三世界各国の核兵器の野心に反対しながら、中近東の親しい同盟国であるイスラエルが核兵器を所有しても見てみぬふりをしてきた。別の問題は、世界中にアメリカの権力と影響力を反映さえる方法として、アメリカ政府は引き続き核兵器に依存してしまっていることだ。モルデカイ・バヌヌの事例によって盛り上がったこのキャンペーンの最終目標は、核のない世界だ。

援助方法

・ イスラエルのアシュケロンにあるアシュケロン刑務所のモルデカイ・バヌヌ宛てに励ましのお手紙を送ってください。(彼への手紙は検閲されるので、全部が手元に届くわけではない。)
・ モルデカイ・バヌヌを釈放するようイスラエル政府に要請するため下記のいずれか宛てまたは全てに書簡を書き、(そして私たちにあなたの書簡または返答のコピーを送ってください。):
ワシントンDC 20510
アメリカ上院
あなたの上院議員宛て

ワシントンDC20515
アメリカ下院
あなたの下院議員宛て

ワシントンDC20500
1600ペンシルバニア アベニュー、NW
ホワイトハウス
ビル・クリントン大統領

ワシントンDC20008
3514インターナショナルドライブ、NW
イスラエル大使

・ バヌヌに代わって教会やユダヤ教会や政治および専門的団体に連絡を取り、その結果を私たちにお知らせください。
・ 請願を回覧し、自分の地域での巡回公演の手配を手伝い、資金援助をしてください。

バヌヌについて
反核政治犯の罪と罰について

モルデカイ・バヌヌを釈放する米国キャンペーン

元核兵器技術者だったモルデカイ・バヌヌは、イスラエルの極秘の核兵器製造計画を告発したかどで、1986年9月30日に政府によって投獄されてしまった。バヌヌは報酬も無しにイギリスの新聞に自分の話を語ることにより、告発したのだ。彼は、彼の釈放とイスラエルの核貯蔵の事実承認を求める国際的なキャンペーンのきっかけとなった。この件に関する解説を以下に掲載する。

国家犯罪
イスラエルの核兵器製造計画をあばいたかどでバヌヌが告訴され投獄されてしまったことは、どこであっても平和や民主主義や人権に背くものだ。いかなる政府も核兵器の存在を隠蔽しておく権利はなく、それを知っているものはどんな者でも公表する義務がある。しかしそのような勇気を持つものはほとんどいない。おまけにバヌヌほど厳しく罰せられた者も他にはいない。バヌヌほど我々の支援を必要としている政治犯は、世界中でも他にいない。核保有に関する国家犯罪は、世界全体に向けられた犯罪であり、断固反対すべきである。
-プリンストン大学国際法教授 リチャード・フォーク

厳しすぎる罰
イスラエルが核爆弾を保有したことを世界に公表してしまったかどでバヌヌは罰せられるべきと思います。しかし彼の公表は誰にとっても驚くべきことではなかったのです。独房に18年監禁という彼の罰は、特に実害がイスラエルに及んでいなかったため、あまりにきびしすぎるものと確信しています。
-コーネル大学ノーベル物理学賞受賞者、ハンス・A・ベーテ最初の原子爆弾を製造した第二次世界大戦時のロスアラモス研究所の理論物理学部部長

怒り
モルデカイ・バヌヌは、どのような国家でも秘密にしておく権利はない核兵器開発をイスラエルが行っているという情報を一般国民に暴露した。彼の誘拐、裁判、刑罰は法外なもので、国際的な人権擁護組織によって当然非難を浴びている。バヌヌの行動は勇気のいる尊敬すべきもので、平和を確約しているイスラエルおよびそれ以外の世界中の全ての人々からの支援を得るに値するものだ。
-マサチューセッツ工科大学言語学者、作家及び政治評論家
ノーム・チョムスキー

彼を釈放せよ
…約10年間も独房に入れられ、バヌヌは十分苦しんでいる…(我々は)イスラエル政府に対し、バヌヌに通常の人間的な接触を許し、服した刑期に減刑し、出来るだけ早く刑務所から釈放するよう要請する。
―アメリカ科学者連盟

深刻な懸念
私は他の人々ともに縦横6×9フィートの独房にバヌヌが引き続き監禁されているのを、残酷で非人間的で品位を貶めるものだと非難してきました。私も他の人々とともにバヌヌに対して非常に不安を抱いています。
―デトロイトのローマカトリック司教トーマス・J・ガンブルトン

言語道断
中近東の核をなくすために明言したことで、バヌヌが独房で長期の刑期に引き続き服しているのは、おぞましいことです。
-ブリティッシュコロンビア州選出のカナダの国会議員 スヴェンド・ロビンソン

耐え難い苦しみ
囚人を8年間も世間から完全に隔絶しつづけるような国は、自由世界には一つもない。私見ではこれは耐え難いものだ。
―イスラエル国会議員デディ・ズッカー

祈り
あなたの勇気と世界における正義のための努力に敬意を表します。あなたの個人的な安寧に多くの人々と同様に心配していることを分かってください。監禁により健康などへの悪影響が出ているに違いありませんが、あなたが耐え続けられることを祈っております。
―アメリカエピスコパル教会の大司教がモルデカイ・バヌヌに宛てた書簡より抜粋
エドモンド・L・ブラウニング

希望
建設的な努力を通してバヌヌが監禁を解かれ、ついには我々全員を脅かしている核拡散に終止符が打たれることを願っています。
―カリフォルニア選出下院議員ロン・デルムズ

残酷で非人間的
モルデカイ・バヌヌが置かれているような長期にわたる独房監禁の状態は、残酷で非人間的で、品位を貶める扱いだとアムネスティインターナショナルでは考えています。このような扱いは、罰則の理由のいかんを問わず、国際人権法で禁じられています。外国でのイスラエルエージェントたちによるバヌヌの誘拐を暴露されるのを防ぐため、イスラエル当局がモルデカイ・バヌヌを隔離しつづけるのは、アムネスティ・インターナショナルでは受け入れがたいことと考えています。国際法の下では誘拐は違法行為であり、国際人権規格の尊重を公言しているいかなる国家もこのような扱いを正当化するために、誘拐を利用することは決して出来はしないのです。
-アムネスティ・インターナショナル

うんざりだ
中近東で残酷で非人間的な状況下での長期にわたる監禁を耐えた元人質として、バヌヌの痛みや苦しみを理解することが出来ます。バヌヌが有罪となり18年の刑期を言い渡された根拠となる彼の行動を必ずしも支持しているのではありませんが、「もう十分だ」と世界中の人々と一緒になって言っています。
-中近東で元人質となったテリー・アンダーソンと他4名のアメリカ人

虚偽を賞賛する
私にとってモルデカイ・バヌヌの事件は、有罪か無罪かという問題で終わるものではない。バヌヌは確かに彼の判事や彼を逮捕した者のように殺人や拷問の罪に問われたわけではないが、彼らは文明的な行為として受け入れられているあらゆる規範を裏切ったのだ。真実を語る者を投獄し、虚偽を礼賛するような法律に、私は決してなじめないだろう。
-ヤフーディ・メニューイン

恥辱
1998年近代イスラエルはその建国50周年を祝うだろう。不幸なことに国家が存在した4分の1の期間、イスラエルの民の一人は、平和の名のもとに極秘の核兵器製造計画にあえて反対を唱えたことで投獄され続けている。これはイスラエルおよび世界の市民にとっても国際的な恥であり、モルデカイ・バヌヌが最終的に解放されるまで恥は残り続けるだろう。
-俳優ケーシー・カゼム

生きているまま彼を釈放せよ
国家は「それほど」秘密主義ではないと言ったり、殺戮破壊兵器が拡散するよりも、世界と自国民のために真実を語ることがより良い救済方法とみなした男性に、イスラエル政府が慈悲をかけてくれるよう願う。モルデカイ・バヌヌは十分苦しんだ。人道的見地から彼を生きたまま解放せよ。
―俳優エドワード・アスナー

判断を下すのは歴史
なんと勇気のある人だ!人は恐れおののくと共に勇気づけられ、ほとんど励まされている。この男はほとんどの人間が耐えられないことを何年間も耐えてきた。さらに今日まで彼の精神は揺らぐことがないままだ。
そして恐れおののいている。ある国民が文明化されているかどうかを見るには、自らの行動の批判を乗り越える能力があるかどうかで、決して法律を秘密や暴力のために誤用したりはしないし、善悪の判断力を持つ人々に対して決して報復したりはしない。
希に見る秀でた英雄を罰したことで、イスラエルには恥じ入るべき完璧な理由がある。
歴史が判断を下すだろうが、最も厳しい判決になるだろうし、誰が悪人で誰が最も偉大な英雄か判断を下すだろう。
いたるところの善良な人々の心の中では、判決は既に下っている。バヌヌに栄誉を、イスラエルに恥を!
-ダニエル・ベリガン牧師、詩人
彼の道にならって
私の師を釈放する時だ。
-化学者ヴィル・ミルザヤノフ、ロシアの極秘の化学戦争研究を告発したため1992年に投獄された後、国際的圧力のおかげで釈放された

侵害
モルデカイ・バヌヌ事件は、イスラエルの独立宣言に約束された正義と人間の尊厳の原則を著しく侵害するものだ。バヌヌは今や十年に及ぶ独房監禁に苦しんでいるが、これは極端で品位を貶め非人間的と広くみなされている状態だ。
バヌヌが暴露できるような技術面のもっと詳細なことを知っている可能性は全くなく、それゆえ彼を釈放してもイスラエル国家の安全を脅かしはしないことを核兵器技術の専門家たちは、立証している。実際、いかにしてバヌヌの公表がイスラエルの安全を危険にさらしたかについて述べたものは誰一人としていない。バヌヌがイスラエルの核備蓄の存在を暴露したことが、スパイ行為や反逆罪にあたるとは言えない。バヌヌは個人の利益あるいは悪意からではなく、自分の良心にかられてそのような行動に及んだのだ。
イスラエルが核兵器を保有しているという問題は、イスラエルや中近東だけでなく、全世界に影響を及ぼす問題だ。この問題を国民で討論すれば、中近東を大量破壊兵器のない地域に設定する条約が誕生するかもしれない。そうなれば地域内で核軍備競争を引き起こすよりも、イスラエルにとって安全を提供してくれるより良い方法となるだろう。
―1996年10月14、15日イスラエルのテルアビブで開催された民主主義と人権に関する
国際会議からイスラエルのイーザー・ヴァイツマン大統領に温情措置を請願して

市民の義務
市民一人一人には、自分の国の裏切りを報告する責任と義務があり、そのような告発者は法律で保護すべきである。
―物理学者、1995年のノーベル平和賞受賞者ジョセフ・ロトブラット

人間性に対する犯罪
人間性および正義を求めるこの怒りを、いつまで持ち続けなければならないのだろうか。イスラエル政府に対し、この件に関する完全な見直しをし、バヌヌを早急に釈放するよう訴える。
―カリフォルニア、リバーモアの放射線に汚染された環境に反対する
トライバレーシチズンのステファニー・エリクソン

ぞっとする恐怖
モルデカイ・バヌヌが分かっていたことは、イスラエルの核兵器製造計画は、このユダヤ人国家イスラエルの強さや安全性になんら寄与することはないということだ。その反対に恐ろしい恐怖や危惧の兆候となる…。人々が軍事力や暴力の脅しに頼ることなく、隠し立てすることなく生きることが出来れば、そうすれば人々は真に安全で平和なのだ。
―ユダヤ平和財団、会長兼ラビ、フィリップ・ベントレー

不正な口実
モルデカイ・バヌヌは平和目的の原子力エネルギー開発に取り組んでいるディモーナの原子力研究所にいかにして1976年末に雇われたかを説明した。バヌヌがディモーナで雇用され、最初にイスラエル公式の秘密法に署名した時、核兵器製造を手伝うことになろうとは彼には知らされていなかった。それゆえ、幾分彼はうその口実の下で働くように言いくるめられたのだ。
―ロンドンサンデータイムズのためにバヌヌにインタービューした記者、ピーター・ホーナム

皆に対する挑戦
どの核兵器保有国にもすくっている秘密主義の崇拝と文化が人類の生存を危機にさらし、脅かしつづけている。バヌヌがこの危険で誤った秘密主義に立ち向かっていることに、世界中が加担しなければならない。
―ダニエル・エルスバーグ

イスラエルに被害なし
イスラエルの核兵器製造計画に関してモルデカイ・バヌヌが十年前に最初に暴露したことにより、イスラエルにおける核兵器開発状況について新たな意義のある、重要な情報が得られた。しかしこれが明らかになっても、イスラエル国家の安全にはなんら被害はなかった。むしろイスラエルの核備蓄の抑止力的価値が高まってしまった…。たとえバヌヌが今日刑務所から釈放されたとしても、バヌヌが他に重要な情報を明らかにすることによって、イスラエル国家の安全をさらに危うくするかもしれないと信じる根拠はひとつもない。
―ワシントンDCの天然資源保護審議会理事トーマス・コクラン

模範
イスラエル国家に対し、南アフリカのように核兵器計画を放棄することで正しい道を歩むよう要請する。バヌヌが述べたように、核兵器を密かに持つという道は、忘却への道である。
―アメリカの55,000人を代表するピースアクション(元核兵器凍結)

限度を超えて
いかなる罰則制度も、国家がある人を罰して正気でいられなくさせるような権利はない。
―元イスラエル閣僚シュラミット・アロニ

ヒーロー
バヌヌは世界の英雄の一人である。
―ヘレン・コルディコット

勝利はやってくる
アパルトヘイトのひどさに我々が勝ったように、正義と真実は不正義とうそに打ち勝つだろう。
―バヌヌ事件に言及して、南アフリカのデズモンド・ツツ大司教

我々のためにバヌヌは話している
モルデカイ・バヌヌは大いなる勇気と尊厳の持ち主だ。イスラエル政府によるサド的な彼の扱いは、不名誉なことであり、世界に残っているわずかな文明的価値に対する怒りである。バヌヌの行動は、厳密には道徳的行為である。彼の行為は、大変暗い環境の中で正気を求める良心からの真の声だ。彼への我々の支援もコンスタントで揺るぎ無いものでなければならない。
―イギリスの劇作家 ハロルド・パンター

汚名を返上せよ
イスラエル大使館から公式の言い分を入手したが、しかしバヌヌを刑務所に入れたままにするのはおろか、独房に監禁する正当性があるとは私には思えないままでいる。当初は、バヌヌが他の囚人たちに極秘の情報を漏らさないよう彼らと隔離したのかもしれない。
しかしそのような時期はとっくの昔に過ぎているに違いなく、それに小さな独房に投獄するのを決して正当化するものではない。これは拷問の一形態で、一般犯罪人の場合においてすら、ましてや明らかにすばらしい動機にもとづいて行動した犯人の場合も、たとえそれが誤解されているとしても、ユダヤ人の道徳の名において全く非難されてしかるべきものだ。まさに多くのユダヤ人に代わって、イスラエル当局に対し、この汚名を返上するよう訴えていると確信しているが、この汚名のために私たちはイスラエル国家を誇りに思いたくても思えないでいるのだ。
―ロンドンのリベラルユダヤ教会のラビ、ジョン・D・レイナー

尊敬
人道的理由から、また彼の良心的な行動を尊敬して、私たちはバヌヌの釈放を指示するものです。
―米国フレンド奉仕委員会

上院への懇願
アメリカの国務省がバヌヌの精神衛生に関してこの特別な件を調査し、イスラエル政府に対してこの件を人道的理由からとりあげてくれれば、ありがたい。
―上院議員ラッセル・D・フェインゴールドとポール・ウエルストーンの
国務長官マドレーヌ・オルブライトへ宛てた書簡より

我々の義務
外国国家の内政に干渉する気はさらさらないものの、バヌヌの件は、国境を越えた人権の意味あいを持つものと確信している。人権に関する問題が起こればどこでも、アメリカの有権者の懸念を代弁することが国民の代表者としての我々の義務であるとも信じていいる。
―下院議員ロナルド・V・ドラムと他12名の国会議員によるクリントン大統領へあてた書簡より

非難
欧州議会は、…モルデカイ・バヌヌの誘拐や、裁判手続きや、バヌヌの拘留されている状態に関するイスラエル当局による行為を非難する。
―1991年の欧州議会の決議より

一歩前進
核技術者であるモルデカイ・バヌヌをイスラエルが赦免してくれれば、我々は大変うれしいのだが。そうすればこのことを平和に向けての意義ある貢献と見なすであろう。
―ノルウェーの外務副大臣ジャン・エッジランド

バヌヌの件に関してまた彼の釈放を求める国際的運動に関する詳細については、下記までご連絡を:
モルデカイ・バヌヌを釈放する米国キャンペーン
2206 Fox Avenue
Madison, WI 53711
Phone/Fax (608) 257-4764

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